オフィステーブルの配置でオフィスに流れる空気感が変わります。
2022年のオフィス移転にあたって、家具選びをしていました。
しかし、家具メーカーさんのカタログを見ても、山崎文栄堂の純木製で、動きがあって、面白くて、オフィスになじむようなイメージにあう家具が見当たりませんでした。
「だったら創ろう!」ということで造作家具に挑戦をしました。
前回のオフィスは、「毎日会社に来るのが楽しくなるオフィス」というテーマで
お部屋の中心にテントを置き、ベースキャンプにいながらお話しできる気軽さを社内に取り入れることで、流れる空気感が変わりました。
2022年5月にオフィスを移転した際に、新しくテーマにしたのはオフィスを
『働く場所から、つながる場所へ』。
いつもテーマに合わせたシンボリックなものをおいており、前回はテントで、今回はどうするか考えました。
オフィスレイアウト全体を考えるときには、このシンボリックなものを中心に、ほかに置く家具の色や形を考えています。
●『働く場所から、つながる場所へ』新しいオフィスのシンボル
今回の『つながる』テーマから想像したものは「円」です。
例えば、人と人とがつながる瞬間に『ご縁を感じる』という方も多いかと思いますが、
やはり、イメージするのは円でした。
そこで、当初は丸型のテーブルを中心に置くことを考えました。
いくつか図面に当てはめてみましたが、どうもしっくりこない。円にする目的を考えたときに、顔をあわせながら話ができたり、囲んで座ることでフラットな感覚でいられることを活かしたいと思いました。
ところが、ただ円のテーブルにすると形が既に完成されてしまい、固定化されてしまうイメージがありました。そこで、円は円でもフレキシブルさを取り入れたいと思いました。
考えを巡らせる中で出てきたのが、円のかたちに近い六角形の形です。
しかも六角形を分解すると台形のテーブルの組み合わせで出来ており、円のように囲って座れることに気づきました。
また、この台形のテーブルは組みわせることで円だけでなく、長方形のテーブルにも
囲うような形にも変形できるのです。テーブルの配置を変えることで、空間全体の雰囲気や見える景色も変わります。
●レイアウトを固定化せず、自由に組み合わせができる家具をつくる
1度レイアウトが決まるとその形で落ち着いてしまい、わざわざ家具を移動させることは少なくなると思います。したがって、場所の動きが止まり、空間も固まる気がします。そしてだんだんと空間に関心が薄くなり、風景のようになっていると感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。空間に意識を向けて関心を持ち続けることはなかなか難しい事かもしれません。ですが、私たちはある考えを取り入れて、「場所」に意識を向けるようにしています。
それは「場所」というものを人間の成長と同じように、愛情をもって「育む」という感覚です。
場所は、そこにいる人たちの意識が形となって現れているものだと思います。
今日1日をどのように過ごすのか、コミュニケーションの取りやすい形などをイメージして、朝礼のあとでテーブルを動かしています。
「空間全体が良くなるように」と意識を向け続けていると、落ちているゴミに気付いたり、傷んでいるところに気づき直したりと、次第に場所に愛着もわいてくるように思います。
●作り手、細川製作所の細田さんとの出会い
今回この台形テーブルをつくるにあたって、「場所に対する」考え方がお互いに共感でき、国産の木材で家具を創っている職人さんに任せたいと感じました。
そこで出会ったのが、東久留米で3代にわたってオリジナルの家具製作を手がけている細田製作所です!
細田さんからお話を伺うと、1990年代生まれの若手クリエイターさん達とアイデアを出し合いながら、仲間同士で技術をシェアし、一人では出来ないことを共創によって実現させているチームで活躍されているお話しを伺いました。お話しされている細田さんの熱量が私たちにぴったりだったので、今回製作をお願いしました!
●台形テーブルの話を聞いてから出来上がりまでのエピソードを伺ってみました!
細田さんへ台形テーブル製作における想いをインタビュ~!
清家
「最初に話を聞いたときの印象ってどんなでしたか?」
細田さん
「台形テーブルのお話を頂いたときは、機能的かつ安価なものが既製品である中で『なぜうちに依頼をしていただいたのか』を考えました。地方の小さな町工場に依頼する意味を考え、価格や機能以上の価値を作りたいと思いました。
清家
「考えてくださってありがとうございます。細田製作所様も私たち山崎文栄堂も同じ3代目社長である事と、町の工場だったり、文具店だったりと、規模感やチャレンジされる姿勢がなんだか重なりました。今回の依頼でチャレンジしてみようと思ったきっかけや、やってみて感じた事はありますか?」
細田さん
「山崎文栄堂さんのロゴが5色のカラーで構成されていることから、台形テーブルがよりシンボリックになるように、3色のカラーバリエーションの提案をしました。台形テーブルの自由な組み合わせ方に加え、色分けによる組み合わせ方を加えることで、より自由な使い方ができると考えました。」
清家
「確かに!色や形の組み合わせをいろいろやってみても、どれもはまっていて、素敵だなと感じました。テーブルが出来上がってみた時はどんなことを感じましたか?」
細田さん
「かわいい!最高だな!と感じましたね。」
清家
「私も最高だな!って思います!色合いもなじみやすく、かわいさもあって社員みんなが気に入っています。ありがとうございます!」
今回作ってくださった細田製作所さんの他の作品も素敵なので、是非皆さんにもご覧いただけましたら幸いです。
●最後に
オフィス空間は、その場所にいる人たちの意識でつくられます。場所を人の成長と同じように愛情をかけて育てていくことで、以前のオフィスと比べてぬくもりや、あたたかさを感じるオフィスになった気がします。
細田さんが考えを巡らせて創ったテーブルはオフィス見学でご覧いただくことができるので、私たちのオフィスを見学してみたい!という方は是非こちらより、お気軽にご連絡ください!
▼オフィス見学はこちらから
<この記事を書いたひと>
株式会社山崎文栄堂
清家美奈
2005年入社/東京都出身
Twitter:@Seike_Mina